起業家が起業するにあたり、最初に考えるポイントとして、「個人事業主でスタートするか?法人でスタートするか?」というところがあります。(税金で考えると、「所得税か?法人税か?」)
起業には、ひとそれぞれ、固有の事情もありますから一概には言えませんが、最近のトレンドとしては、(特にお金がない場合、)
まずは個人事業主としてなにも考えずにプロダクトをつくってみてテストマーケティングする。うまくいきそうであれば法人化する。
という方が多いように思います。
日本のスタートアップ界隈だと、Livertyから生まれたBASEなどが典型的な事例だと思います(会社概要によると、2012年11月にサービスをローンチして、翌月12月に法人化)。
先日、読んで、非常に面白かった下記の本にもその経緯が触れられています。
ちなみに、家入さんは当時史上最年少でJASDAQ市場に上場した日本の有名起業家ですが、個人的には、上記の本の「あとがき」に出てくるこちらも有名投資家の松山太河さんによる”家入評”がとても面白かったです。
なお、家入さんの自伝的な本としては下記の本も面白いです。
さて、いきなり脱線しましたが、「サービスが当たってから法人化」というのは非常に理にかなっているように思います。
というのも、法人を設立してからサービスを開発してコケたら、単純に、法人設立費用が無駄になるからです。
日本では、法人設立費用には相場があります。(また脱線しますが、ちなみに、アジア諸国では、日本並みに法人設立が「安い」のは、シンガポールや香港くらい。新興諸国になればなるほど、法人設立にお金が掛かります。これは、「最低資本金」や「ビジネスライセンス」という「規制」があるためです。先進国はなんだかんだ「規制緩和」の恩恵を受けているんですね。)
日本で起業するなら、基本的には、法人設立というのは司法書士さんにやってもらう業務なのですが、定款認証代等の実費に司法書士報酬5万円程度を加算して約25万円くらい。これはどこの司法書士にお願いしても一緒でしょう。
司法書士に払う5万円もケチりたいというコストカットに敏感な方もいると思います。
個人的には、そういう起業時のコストカット意識、非常に大事だと思います。
ただ、司法書士は、「定款の電子認証」というのをやってくれるので、電子認証で印紙税を4万円カットでき、司法書士報酬5万円を考えても、実は1万円くらいしか変わらないんですね。(電子認証まで自分でやってみるという方もいるかもしれませんが、ここまで来ると、あとはお金と時間の計算でしょう。)
法人設立にもいろいろな形式があります。
株式会社のほかにも、Apple Japanのように「合同会社」など。それこそ、家入さんが創業した現「GMOペパボ株式会社」は、創業時は「合資会社」だった(合同会社ではなく合資会社)そうです。これは、「組織変更」という手続きでなんとでもなるのですが、要は、「責任の限度」や「創業者としての出口」を考えたほうがよいです。
ふつうの起業家なら混乱してしまうと思うのですが、実は、一口に「法人」と言ってもものすごい種類があり、本当はものすごく多岐にわたる選択肢があるんですね。(参考:Wikipedia「法人」)
結論としては、日本で起業して日本でEXITすることを考えれば、「株式会社」が無難です。(だから、だいたいみんな「株式会社」で起業します。)
あとは、法人設立登記を自分でやるか、司法書士に任せるか。
最近読んだこちらの記事にも関心したのですが、「最初は自分でやってみる」というのも大事かもしれません。公証人や公証人役場、法務局もそうですが、会社がかかわる「行政」というのは、起業後、避けて通れないものです。
勉強と言いますか、起業のタイミングで時間があるのであれば、こういった行政とのやり取りは、コスト意識を磨く意味でも、一度は体感しておいてもよいのかもと思います(ちなみに私も一度だけ自分で会社設立を自力でやってみたことがありますが、めんどくさすぎて以後すべて司法書士の先生にお任せしています。ただ、一度やるとだいたいわかるので、「一度やった」ことに意義があると思っています)。