富裕層の方の海外移住や、日系企業の海外展開・海外進出のサポートをさせていただく中で、「どこの国がオススメですか?」と聞かれることが多いです。
答えは、「その方のライフスタイル」や「その会社の強み」によるので一概には言えないのですが、いわゆる「ファクト」として、諸外国の比較は役に立ちます。
その中でも、「一人あたりGDP」と言う統計指標は、「その国の国民の経済力」や「物価(と比較的比例しやすい)」などの参考になるので、ぜひ一度、じっくりと見ていただきたい統計です。
個人の方の海外移住や、企業の海外展開・海外進出のご参考まで。
1. 日米比較
GDPで世界一のアメリカと第3位の日本(2011年に中国に抜かれるまでは第2位)は同じような成長スピードで経済的進化を遂げてきたことが分かります。(余談ですが、弊事務所提携先のボストンのアメリカ人CPA(公認会計士)は2015年現在、50歳代なのですが、「オレの青春はYAMAHAとHONDAのバイクだったんだぜ」といつも言っており、その言葉を初めて聞いたとき、個人的には日本人としてかなりシビれたのですが、それくらい、敗戦国だったにも関わらず、戦後日本経済の製造業はイケていて、ものすごい成長を実現する原動力になったわけで、本当に尊敬しております。つまり、上の図は、そういった日本人たちが成し遂げたことの証でもあるわけです。)
日米+シンガポール・香港比較
村上ファンド事件のあたり、村上さんが「日本の一人あたりGDPはシンガポールに負けている」とおっしゃっていたのをよく思い出しますが、これも事実です。ただ、ひとつ個人的に言いたいのは、「シンガポールも香港も都市国家だ」ということ。例えば、「東京」という都市とだけ比べれば、日本もシンガポールや香港には負けません。
ここまでをまとめると、日米+シンガポール・香港、ざっくりと言うと、「ほぼ同じ」です。
次に、ヨーロッパも見てみましょう。ちなみに、ヨーロッパ経済の4強(GDP比:一人あたりGDPではなくGDP総額)は、ドイツ・フランス・イギリス・イタリアで、スペインが続きます。
日米+シンガポール・香港+欧州4強比較
これも、ざっくりと言うと、「ほぼ同じ」。
いわゆる「先進国」という括りになります。
次に、BRICsについても見てみましょう。
日本+BRICs比較
wikipediaによると、BRICsという言葉は「投資銀行ゴールドマン・サックスのエコノミストであるジム・オニールによって書かれた2001年11月30日の投資家向けレポート『Building Better Global Economic BRICs』で初めて用いられ、世界中に広まった」そうで、「2000年代以降著しい経済発展を遂げているブラジル、ロシア、インド、中国の4ヶ国の総称」ですが、かなりざっくりとした言い方になりますが、「アメリカとブラジル(中南米新興諸国)」、「ヨーロッパとロシア(欧州新興諸国)」、「日本と中国・インド(アジア新興諸国)」の関係は、それぞれ地理的に近く、「先進国と新興諸国という構図」という意味で似ています。
今度は、日本とアジア諸国の関係について。
日本+アジア新興諸国比較
よく言うのですが、2015年現在のアジア諸国は、日本と比べると下記のような感じです。
◯日本とシンガポール・香港が同じくらい
◯韓国と台湾がその半分くらい
◯マレーシアがその半分(日本から見ると1/4)くらい
◯中国とタイがその半分(日本から見ると1/8)くらい
◯インドネシア・フィリピン・スリランカ・モンゴルがその半分(日本から見ると1/16)くらい
◯インド・ベトナム・ラオスがその半分(日本から見ると1/32)くらい
◯カンボジア・バングラデシュ・ミャンマーがその半分(日本から見ると1/64)くらい
分かりやすくするために、マレーシア以下の国で比較してみましょう。
よく言われることですが、どの国も、「人口構造」や「経済成長」が、日本の1960年から1980年くらいの時代(いわゆる「高度経済成長期」。厳密には、「1954年(昭和29年)12月から1973年(昭和48年)11月までの19年間」)と似ています。そこから、日本経済はいわゆる「安定経済成長期」に入り、乗数的に経済力を伸ばしたわけですが、アジア諸国や中南米諸国、欧州新興国でもそういったことが起きるのでしょうか?
こういった予想をするにはさらに、各国の「人口構造」「教育力」「カントリーリスク」なども同時に比較すべきですが、単純に考えれば、「国が成熟するまでの余力があるのだから、ふつうは伸びるだろうな」「伸びない理由を探すほうがむずかしい」と個人的には考えています。