最近、仮想通貨交換業のコンサルティング(登録や税務)のお仕事をさせていただいており、その中で検討したところを、以下、かなりざっくりと簡潔にまとめてみます。
1. そもそも暗号通貨・仮想通貨とは何か?
暗号通貨好きの方ならご存知の CryptoCurrency Market Capitalizations というサイトがあります。
いろいろなCryptoCurrencyの時価総額の比較ができるサイトです。
このCryptoCurrencyを日本語に直訳すると「暗号通貨」になります。
Wikipediaによると、
暗号通貨(あんごうつうか)とは、暗号理論を用いて取引の安全性の確保、およびその新たな発行の統制をする仮想通貨である。
とのことですが、個人的には、bitFlyerさんの下記の定義のほうが分かりやすいように思います。(以下引用です。)
暗号通貨とは、セキュリティ対策として暗号技術が利用されている通貨です。Virtual Currencyとも価値記録とも呼ばれます。公開鍵暗号、ハッシュ、その双方を用いた電子署名等の技術が利用されています。
暗号通貨の対義語として法定通貨があげられることが多いです。法定通貨は日本円や米ドルなど法律で価値が保証された通貨です。xxnxxx turk ifsa porno 法定通貨はFIAT通貨とも呼ばれます。
電子マネーなどの第三者式支払手段は暗号通貨に含まれません。
個人的には、「暗号通貨」は概念的なものと理解していて、改正資金決済法上は click here「仮想通貨」という法令用語が使われています。
下記のリンク先にもあるように、
http://www.fsa.go.jp/common/diet/index.html
国会提出法案(第190回国会)
成立した法律
情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する法律
(平成28年3月4日提出、平成28年5月25日成立)
法律・理由(PDF:1,117KB)
http://www.fsa.go.jp/common/diet/190/01/riyuu.pdf
というPDFがあり、この中で、
第二条中第七項を第十二項とし、第六項を第十一項とし、第五項を第十項とし、第四項の次に次の五項を加える。
5 この法律において「仮想通貨」とは、次に掲げるものをいう。
一 物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために 不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く。次号において同じ。)であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの
二 不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの
というように、「仮想通貨」の法令上の定義が出ています。
なお、有名なビットコインというのは暗号通貨(仮想通貨)の一種ですが、世の中的には、その「代名詞」としても使われているように思います。
ビットコインについては、Wikipediaの説明が分かりやすいです。
2. 仮想通貨交換業とは何か?
上記で触れた改正資金決済法上、同様に、PDFのなかで「仮想通貨交換業」についても定義が出てきます。
以下は、さきほどの続きです。(ちなみに、6は、いわゆるFIAT通貨建ての資産の定義です。)
7 この法律において「仮想通貨交換業」とは、次に掲げる行為のいずれかを業として行うことをいい、 「仮想通貨の交換等」えろ動画 とは、第一号及び第二号に掲げる行為をいう。
一 仮想通貨の売買又は他の仮想通貨との交換
二 前号に掲げる行為の媒介、取次ぎ又は代理
三 その行う前二号に掲げる行為に関して、利用者の金銭又は仮想通貨の管理をすること。
条文どおりで、仮想通貨の売買や仮想通貨間の交換をしたり、その媒介や取次ぎや代理を業として行うと、仮想通貨交換業に該当するわけですが、この場合、下記のように「登録」が必要です。
8 この法律において「仮想通貨交換業者」とは、第六十三条の二の登録を受けた者をいう。
そして、この「第六十三条の二」というのは、下記になります。
(仮想通貨交換業者の登録)
第六十三条の二 仮想通貨交換業は、内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ、行ってはならない。
実務上は、下記のように、財務局への申請を行い、受理されて初めて登録となります。
電子政府の総合窓口e-Gov1[イーガブ]仮想通貨交換業の登録の申請
ちなみに、平成29年5月31日現在ではまだ、仮想通貨交換業者の登録は一件もないようです。
【金融庁】仮想通貨交換業者登録一覧 平成29年5月31日現在
ここに注意書きがありますが、平成29年9月30日までは重要なポイントになってきますので、以下、転載します。
* ただし、資金決済に関する法律の一部改正に伴う経過措置により、平成29年4月1日より前に、現に仮想通貨交換業を行っていた者は、平成29年4月1日から起算して6月間は、新資金決済法第六十三条の二の規定にかかわらず、当該仮想通貨交換業を行うことができることとされています。詳しくは、下記の条文をご参照ください。
■情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する法律(平成28年法律62号)附則(抄)
(資金決済に関する法律の一部改正に伴う経過措置)
第八条 この法律の施行の際現に仮想通貨交換業(第十一条の規定による改正後の資金決済に関する法律(以下この条において「新資金決済法」という。)第二条第七項に規定する仮想通貨交換業をいう。以下この条において同じ。)を行っている者は、施行日から起算して六月間(当該期間内に新資金決済法第六十三条の五第一項の規定による登録の拒否の処分があったとき、又は次項の規定により読み替えて適用される新資金決済法第六十三条の十七第一項の規定により仮想通貨交換業の全部の廃止を命じられたときは、当該処分のあった日又は当該廃止を命じられた日までの間)は、新資金決済法第六十三条の二の規定にかかわらず、当該仮想通貨交換業を行うことができる。その者がその期間内に同条の登録の申請をした場合において、その期間を経過したときは、その申請について登録又は登録の拒否の処分があるまでの間も、同様とする。
2 前項の規定により仮想通貨交換業を行うことができる場合においては、その者を仮想通貨交換業者(新資金決済法第二条第八項に規定する仮想通貨交換業者をいう。)とみなして、新資金決済法の規定を適用する。この場合において、新資金決済法第六十三条の十七第一項中「第六十三条の二の登録を取り消し」とあるのは、「仮想通貨交換業の全部の廃止を命じ」とするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
3 前項の規定により読み替えて適用される新資金決済法第六十三条の十七第一項の規定により仮想通貨交換業の全部の廃止を命じられた場合における新資金決済法の規定の適用については、当該廃止を命じられた者を同項の規定により新資金決済法第六十三条の二の登録を取り消された者と、当該廃止を命じられた日を同項の規定による同条の登録の取消しの日とみなす。
下記なども参考になりますが、「仮想通貨交換業の登録の難易度がかなり高そう」というところはご理解いただけるかもしれません。
【金融庁】第三分冊:金融会社関係
http://www.fsa.go.jp/common/law/guide/kaisya/
16.仮想通貨交換業者関係
http://www.fsa.go.jp/common/law/guide/kaisya/16.pdf
3. ICOをする場合、仮想通貨交換業となるか?
暗号通貨界隈では「ICO(Initial Coin Offering)」が話題です。
ICOについては、下記の記事などが参考になります。
Ethereum Based BAT ICO Raises $36 Million in 30 Seconds to Disrupt Advertising
http://www.trustnodes.com/2017/05/31/ethereum-based-bat-ico-raises-36-million-30-seconds-disrupt-advertising
上記は、BATという広告系のトークン(トークンも暗号通貨の一種)がICOをして、30秒で約40億円も資金調達したというような記事です。
他にも、下記など。
【bitcoin news】現代に蘇るケインズ通貨「バンコール」、ブロックチェーンICOで167億円調達
http://btcnews.jp/5k8o872y11509/
すごい額なので、今後、日本でもICOをしようとするスタートアップが出てくるのではないかと思うのですが、こういったトークンも改正資金決済法上の仮想通貨なのだとすると、まさにさきほどの「一 仮想通貨の売買又は他の仮想通貨との交換」を「業として」やっているのではないかと思いますので、個人的には、仮装通貨交換業の登録が必要だと思います。
4. 仮想通貨の税務
まず、消費税については、下記のように、平成29年度税制改正により、「平成29年7月1日以後に行う取引について」非課税になります。
【財務省】「平成29年度税制改正」(平成29年4月発行)
http://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeisei17.htm
3 消費課税(PDF:795KB)PDF
http://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeisei17_pdf/zeisei17_03.pdf
仮想通貨に係る課税関係の見直し
資金決済に関する法律の改正により仮想通貨が支払の手段として位置づけられることや、諸外国における課税関係等を踏まえ、仮想通貨の取引について、消費税を非課税とします。
* 平成29年7月1日以後に行う取引について適用します。
ただし、私の理解では、その他の税目ではまだ明確な税制改正が入っておらず、現行法に当てはめて課税関係を理解する必要があるはずです。
実務上、このあたりはけっこう混乱しているように思うのですが、例えば、bitFlyerさんの下記のページの説明は分かりやすいですね。私も概ねそう思います。
【bitFlyer】ビットコイン等仮想通貨に係る税金について
https://bitflyer.jp/ja/digital-currency-tax/capital-gain
他にも、下記の特に一連の「参議院 ビットコインに関する質問 質問主意書」と「答弁書」などが面白いです。
【Bitcoin日本語情報サイト】ビットコインと所得税(2016年分)
https://jpbitcoin.com/about/incometax
株式やFXなどについては法整備がされていて、源泉徴収などで完結する仕組みがありますが、仮想通貨はまだそういった法整備がありません。
bitFlyerさんのウェブサイトなどを見ると、すでにbitFlyerさんだけで「ビットコイン月刊取引量 過去最高 8,000億円突破!」とのことなので、実はものすごい数の「申告漏れ」が生じてしまわないかと心配していたりします。
5. まとめ
仮想通貨交換業やICOに関心がある方、仮想通貨でとんでもなく儲かってしまったけど確定申告はどうすればいいのか不安な方は、ぜひお気軽に弊事務所までお問い合わせください。